起業後、34日目。今日は、将棋と経営戦略について。
突然ではあるが、僕は将棋が好きだ。
思えば、一番はじめにハマったゲームも、将棋だった。記憶定かではないが、小学校2年生くらいからハマった。終業のチャイムが鳴ったら、ダッシュで友達の家に行き、ランドセルをぶん投げ、盤を引っ張り出す。駒を並べる。第1声は、「先生、もんでください」
「先生」とは、近所の友達のじいちゃんのこと。当時、70才くらいだったろうか。嘘か誠か定かではないが、昔プロ棋士にも勝ったという伝説を持つ、スーパーじいちゃん。対する僕、9才。見事なまでに、連戦連敗した。
将棋をやったことことがある人なら分かると思うが、将棋は、めちゃくちゃ残酷なゲームである。理由は、運の要素が一切入らないから。麻雀や桃鉄と違い、負けるときは、完全に「実力」で負けるのである。ここでの実力は、腕力でも足の速さでも人間力でもなく、思考力である。だから負けたら、「あなた、私より頭悪いですね」に近い。
その上、詰み(ゲームオーバー)が確定したときは、負ける側が「参りました」と言わなければならない。こんな屈辱はない。よって、負ければ相当悔しい。そこに、60才近い年齢差など関係ない。
だから、毎日毎日、「もう1局」としつこくじいちゃんに詰め寄り、連続対局を迫っていた。
そのじいちゃんは、お茶目なところが多分にあり、対局したいなら、「先生もんでください」と言えと私に迫ってきた。年端も行かない小僧に対して。
小僧は、屈辱にまみれながら、「先生もんでください」と言い続けた。負けた後は、「どこがいけなかったか」考え続けた。悔しいから。
学校の宿題とか、どうでも良かった。宿題提出率5%以下。どうしても逃れられない提出物は、親の印鑑を引っ張り出して。自分で押印した。通信簿の父兄欄には、親の書体を真似して、「たかしは、家で大変よくやっています。お手伝いもする良い子です」と自分で書いて乗り切った。
周りの友達は、日曜午前には、「仮面ライダー」とか「ビックリマン」に夢中になっていたが、私は、午後の「NHK 将棋の時間」に夢中になっていた。実に渋い。すべては、勝利のため。81マスの宇宙に、どっぷり漬かった。
そんな将棋ライフを3年ほど続けただろうか、小6の頃、ついにそのじいちゃんに将棋で勝った。
達成感はあったが、じいちゃんの力の抜けたような悲しいような表情を見たとき、改めて、将棋は残酷だと思った。
以上、昔の思い出。
最近、経営戦略を考えるようになって、将棋と経営戦略が、極めて近いことを知った。
理由①:ファクトの洗い出しが重要。
理由②:煩雑なファクトを整理し、最適解を導くプロセス。
理由③:最終目的を見据え、短期的な損は切ることで活路が見出せる。
理由④:「攻め」と同時に「守り」も考えねばならない。
理由⑤:対局が進むほど、状況はユニーク(固有)なモノになる。
理由⑥:とは言え、セオリー(定石)は存在する。
理由⑦:競合の打ち手を数手先まで読みきらなければならない。
理由⑧:負けたときは、悲惨。
多分、他にもいっぱいある。
将来、経営者として大成したとしたら、あのじいちゃんのおかげも多分にあると思う。
何より、
「負け続けても、原因を突き止め、次に生かせば、いずれは勝てる」という成功体験
を早めに獲得できたのは、有難かった。
今はまだ、経営において、「先生、もんでください」のフェイズだが、
いずれは、なんとかなると思っている。
子供に手を抜いてはならない。