ビジネス問題の考え方

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起業後、746日目。今日は、ビジネス問題の考え方について。

前回エントリー「プレゼン資料の作り方」Tumblrで500回以上リブログ頂き、反響の大きさにビックリした。

加えて、HALOの新卒へ「君たちは、せっかく持ってる優秀な脳みその1%も使ってないよ!」と毎日叱っているが、ピンときてないようなので、理解を深めてもらうことを目的に書く。

一口に、「ビジネス問題の考え方」と言っても幅広い。

今回は、弊社の新卒を対象に、学生と社会人のときの問題の考え方を比較する形で、
「切り替えるべき 3つのパラダイムシフト」という切口で説明する。
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■切り替えるべき 3つのパラダイムシフト

1:1つの正解がある     → 正解が複数ある
2:正解を導く公式がある   → 正解を導く公式がないことが多い
3:回答までの制限時間が明確 → 回答までの制限時間は明確ではないが、
早く答える者と遅く答える者で天地の差が生まれる。

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1:1つの正解がある → 正解が複数ある

学生の時は、以下のようなタイプの問題に答えることが多い。

問:2+3=◯ … ◯には何が入るでしょうか?

対して、社会人、特にビジネス問題では、以下のようなタイプの問題に答えることが多い。

問:◯+△=5 … ◯と△には何が入るでしょうか?

要するに、受験問題では「正解が1つ」だったのに対して、ビジネス問題では、「正解が複数」になることが多い。

加えて、誰もが思いつくような答えは、役に立たないことが多く、誰もが思いつかないような奇抜な答えの方が得点が高い。

もっと言えば、奇抜でありながら、シンプル且つ実行可能な答えがより得点が高い。

さらに、役職や仕事のレベルが上がると、以下のような問題に答えることが多い。

問:◯+△=☆ … ◯と△と☆には何が入るでしょうか?
※「+」の符号を変えても構いません。

要するに、「正解自体も自分で設定せよ」ということだ。☆には、関わる人達みんながワクワクできて、自尊心をくすぐり、互いの利害が一致できるものが入ることが多い。つまり、論理的に正しいかどうかだけではなく、関わる人の感情という変数を考慮することが大事になる。

以上、1つ目のパラダイムシフトを認識すべきだ。

過激なことを言うと、「一つの正解」を聞きたがる新卒の質問は、断固無視すべきだ。
でないと、将来、変数が増えた問題を解く際に、まったく歯が立たない社会人になる。
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2:正解を導く公式がある   → 正解を導く公式がないことが多い。

学生時代は、はじめに、正解を導く公式を教えてもらう。対して、社会人になると、公式が存在しないことはないが、当てはまらないことが多い。

だから、自ら、正解に至るための公式を仮説で作るしかない。

いわゆる「仮説主導」の考え方だ。仮説主導の定義=「行動する前に、問題の解決策・手順を考えること」ここで重要なのは、正しい手順で仮説主導を行うことだ。

以下、正しい手順。

STEP1:「事実を収集する」
必要な理由:直感の欠如を埋める&(相手がいるときに)説得力を増すため

STEP2:「問題を構造化する」=公式を作る
必要な理由:しらみ潰しに行動し、時間や労力を浪費しないため

STEP3:「構造に漏れがなく、ダブりもない状態にする」=精度の高い公式にする
必要な理由:漏れやダブりがあると、問題解決するための公式として不備があるため

要するに、公式が分からないからと言って、「やみくもに何かに答えたり、行動するな。でないと、しなくても良い苦労をするぞ」ということだ。

受験問題とビジネス問題の明確な違いとして、「回答して正解かどうかわかるまでの時間の長さ」がある。ビジネス問題の場合、回答して終わりではなく、回答を実行に移し、自分や組織の目指す成果が上げられて、はじめて正解になる。

しかも、1発で正解に達することはほぼない。ほとんどが、トライ&エラーで仮説の精度を上げて正解に達するプロセスを要する。つまり、やみくもに解答して行動することに対する時間・労力・金銭の損失が、べらぼうに大きくなるのだ。

以上、2つ目のパラダイムシフトを認識すべきだ。

過激なことを言うと、「私は毎日こんなに遅くまで働いているのに、会社は評価してくれない!」と不満を口にする新卒は、断固無視すべきだ。

毎日遅くまで働いて、自分の仕事の取り組み方自体に問題があることを悟る方が、後々の財産になる。
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3:回答までの制限時間が明確 → 回答までの制限時間は明確ではないが、
早く答える者と遅く答える者で天地の差が生まれる。

学生時代の問題用紙には、(制限時間=10分)などと明確に制限時間が書いてある。対して、社会人のビジネス問題には、明確な制限時間が記載されていない。

この制限時間が明示されていることに甘えて、ちんたら答える人と制限時間が明示されていないことを機会ととらえて、次々と新しい問題にあたる人がいる。

両者に間に、天地の開きができる。

なぜなら、学生時代のテスト中は、早く回答した人は、寝るか、思索にふけるか、天井などのシミを数えるなど、くだらない遊びに興じて待つしかなかった。

しかし、社会人になると、遅い人を待つ必要がなく、余った時間でどんどん新しい問題にあたってレベルアップすることができる。

要するに、変な平等主義がないのだ。「デキる人は、よりデキるようになり、デキない人はよりデキなくなる」格差社会なのだ。

以下、早く回答し、必要があればすぐに軌道修正するコツ。

1.「事実」と「想定」を分類する
2.「本質」は何か見極める
3.「大枠」と「各論」を分けて、頭の中を構造化する

頭の中や会話の中で 「想定」「事実」「本質」「大枠」「各論」の5つの言葉を意識するだけで、だいぶ回答速度が上がる。また、間違った箇所があれば、修復しやすい。

以上、3つ目のパラダイムシフトを認識すべきだ。

過激なことを言うと、デキない人を待っていると、組織全体がデキなくなるから、待つべきではない。
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以上、過激なことを書いたので、

「HALOってものすごく新卒に厳しい会社だ」と思う人がいるかもしれない。

しかし、すでに到来し、まもなく本格化する以下3つの変化を前にすると、
とてもじゃないが「優しく」する気にはなれない。

・より低い賃金で、より多くの若者が切磋琢磨する新興国に多くの仕事が奪われる。

・今後ますます安く、早く処理できるコンピューターに多くの仕事が奪われる。

・物質的な豊かさを実現するサービスから、精神的な豊かさを実現するサービスへ
世間のニーズが移行することによって、「正解そのもの」がより複雑&多様になる。

「厳しさこそ、優しさ」だと確信している。

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